回線事業者が提供する回線には、いくつかの種類があり、それぞれには当然長所や短所が存在します。
回線をおおざっぱに分類すると、有線と無線に分けられますが、少しややこしい所がありますので、よく聞く言葉の意味や概念を解説して、はっきりさせておこうと思います。
●回線とはWAN側の伝送路のこと
まず、ここまでのおさらいですが、各家庭や企業などにはルーターを管理者としたLANと言うネットワークが存在します。全ての端末(パソコンなどネットワークへアクセスする機器)は、必ずいずれかのLANに属します(厳密にはルーターなしの直付けも可能ですが、その場合は1台のみで構成されるLANと解釈して下さい)。
ウェブサーバーなど、ネット上に公開したいデータを置いたマシンもまた別のLANに属しますが、そこへアクセスするためには、LAN同士を繋ぐ必要があります。それは、回線事業者が持つネットワークへそれぞれのLANを繋ぐことで可能になります。
こうして、回線事業者のネットワークを介してLANとLANが繋がったものがWANです。また、WAN同士も同様に繋がって、世界中が1つのネットワークになったものをインターネットと呼びます。
ネットワーク同士を結び付けるとは、ルーター同士を結び付けることを意味します。つまり、ルーターはLANの内側(LAN側)と外側(WAN側)の境目となる訳ですが、LAN側とWAN側それぞれに有線接続と無線接続があるのです。
この図の中央にあるのがルーターです。そして、左側にあるのがLANに属するパソコンなどで、右側にあるのがWANを提供する回線事業者の基地局です。LAN、WANそれぞれに有線で結ぶか無線で結ぶかの方法があるのが分かると思います。番号を振ってありますので、個別に解説して行きます。
1: 有線LAN
まずはLAN内、すなわち家庭など限られた範囲のネットワークの構成です。
ルーターとパソコンなどの端末、それぞれのLANポートをLANケーブルで接続します。最も基本的な接続方法と言えるでしょう。一般に、無線よりも有線の方が、高速で安定した通信となります。
2: 無線LAN
ルーターが無線に対応していれば(無線LANルーター)、無線での接続が可能になります。ところで、Wi-Fi(ワイファイ)と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?
実はWi-Fiは、無線LANの規格の1つです。一口に無線LANと言っても、かつてはルールなどが曖昧で、特定の親機(ルーター)と子機(アクセスする機器)の組み合わせ以外では、接続が保証されていないような状況でした。
そこで、無線LANに関する厳密な仕様が作られたのです。それがWi-Fiで、Wi-Fi対応を謳う製品同士の接続は、保証されているのです。
Wi-Fiは無線LANに属する規格ですので、基本的には同じ建物内における親機と子機の接続に限ったものである点が重要です。
3: 有線回線(固定回線)
さて、ここからはWAN側の話になります。有線の回線は、一般に固定回線と呼ばれます。
使われるケーブルにより光回線(光ファイバーケーブル)やADSL回線(電話回線)、ケーブルテレビ回線(同軸ケーブル)などいくつかの種類があって、通信速度や安定性などがそれぞれ異なります。
回線契約を結んだ後、回線を自宅へ引き込む工事などが必要になるので、最初だけは手間暇が掛かるのですが、回線自体は高速で安定しているため、特別な理由がなければ家庭では固定回線を用いるのがよいでしょう。
宅内に引き込んだ回線は、ONU(光回線)やADSLモデム(ADSL回線)に接続され、そこからルーターのWANポートにLANケーブルで接続されます。このルーターのLAN側に有線、あるいは無線でパソコンなどの端末を接続することで、インターネットへのアクセスが可能になるのです。
4: 無線回線(モバイル回線)
無線の回線は、主に携帯電話(スマートフォン)の通信回線を利用した回線になります。この通信は、モバイルデータ通信などと呼ばれますが、当サイトではモバイル回線と呼ぶことにします。
モバイル回線の種類には、LTEやWiMAX(ワイマックス)などが存在します。近年よく見聞きする言葉ですね。
固定回線との違いは、物理的な回線(ケーブル)がないため、初期工事が不要である点が挙げられるでしょう。また、自宅のみならず、どこでも利用可能なのも大きな違いと言えます。
しかし、自宅がサービスエリア内に入っていたとしても、外出先が圏外であれば、通信が出来なかったり、出来ても不安定だったりしますし、そもそもモバイル回線は、通信速度も安定性も固定回線には及びません。
さらに、通信制限の問題があります。利用出来る通信量(データ量)自体は無制限でも、一定期間にある量を超えて利用した場合、通信速度に何らかの制限が加わる契約がほとんどなのです。
YouTubeなどの動画を楽しみたい人などには、かなり大きな制限になってしまうため、がっつりネットを利用する人は、固定回線を引く方が断然おすすめです。
逆に、テキストベースのサイトの閲覧などがメインの人には、使い回しの効くモバイル回線は、かなり有用と言えるでしょう。
最後に、固定回線、モバイル回線の種類とそれぞれの代表的なサービス名を表にして記載します。
分類 | 回線の種類 | 代表的なサービス名 |
---|---|---|
有線 | 光回線 | フレッツ 光(NTT) |
auひかり(KDDI) | ||
ソフトバンク光(SoftBank) | ||
ADSL回線 | フレッツADSL(NTT) | |
Yahoo! BB ADSL(SoftBank) | ||
ケーブルテレビ回線 | – | |
無線 | LTE(3.9G)/ LTE-Advanced(4G) |
Xi(docomo) |
4G LTE(au) | ||
Softbank 4G LTE(SoftBank) | ||
WiMAX(3.9G)/ WiMAX2(4G) |
UQ WiMAX(UQコミュニケーションズ) |